後見制度の一時利用について
令和3年12月15日に成年後見制度利用促進専門家会議が開かれました。
この会議は、成年後見制度に関係する幅広い分野のメンバーで構成され、今後、成年後見制度がさらに普及するためにはどうしたら良いか、検討するものです。
いろいろと検討がされたようですが、注目すべきは、後見制度の一時利用についてです。
成年後見制度は認知症等で判断能力を欠く方の法定代理人として後見人が就くことで、ご本人の保護を図るものですが、一度選任されるとご本人が亡くなるまで続き、その報酬負担の点から、利用しにくいと言われてしまっています。
例えば、夫が亡くなり、相続人が妻と子の場合。妻が認知症ですと、遺産分割協議のため妻の後見人が必要となります。そして、相続手続きが終わった後も、後見人はずっと就いたままで、その後見人が専門職ですと、ご本人が亡くなるまで、決して安くない報酬を支払い続けることになります。普段の生活は子がサポートしたり、福祉サービスを利用したり、この相続手続き以外には制度の利用の必要性を感じない方にとっては利用をためらう原因となっていました。
これが、上記の例では相続手続きですが、制度を利用した当初の目的が果たされると、後見人の任務が終わるように変更することが検討されているわけです。これにより制度が格段に利用しやすくなり、別の方法で何とか対応できないかと検討する必要もなくなりますので、画期的と言えます。
ただ、この話はまだ検討段階。今後、積極的に議論してぜひ実現して欲しいものです。
後見制度や生前対策については、経験豊富な弊所までご相談ください。