成年後見と相続税申告期限について

成年後見制度を利用する理由として多いのが、ご家族が亡くなられ、その相続手続きをしたいが、相続人が認知症で判断能力がない状態のため手続きを進められないから、というものです。

この場合、その相続人について、後見開始の申立てをし、選任された後見人が代わりに必要な対応を取ることになります。

さて、後見人が行う相続手続きは多岐に渡ります。預貯金の解約払戻し、有価証券の移管、不動産の名義変更(相続登記)といったものが代表的ですが、該当する方は相続税申告も行わなければなりません。

各種名義変更には期限はありませんが、相続税の申告期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められています。

とはいえ、相続が発生し、相続人に後見人を就けなければいけないと知り、そこから準備をして選任申立てをするとなると、亡くなってから10ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。

そこでポイントとなるのが、「知った日」の部分。後見人が必要なほど認知症が進行している方にとっては、亡くなったことを「知った」というのは難しいのではないでしょうか。その場合、いつから10ヶ月になるのでしょう?

相続税基本通達27-4では、相続開始の事実を知ることのできる弁識能力がない者については、「法定代理人(今回でいう後見人)が選任された日」の翌日から10ヶ月以内として取り扱うものとし、配慮がされています。

税務に関する個別具体的な事案については税理士にご確認ください。弊所では、相続税申告を得意とする税理士と提携して対応しております。いつでもご紹介致しますので、お気軽にお問い合わせください。