不動産の転売禁止について

7月、東京都千代田区は不動産業界に対し、再開発事業で販売される新築マンションについて、購入者に対して「5年間の転売禁止」と「同一名義での複数戸購入禁止」を求める異例の要請を行いました。

この要請は、投機目的の短期転売や海外の富裕層による買い占めが増加し、本当に住みたい人がマンションを購入できない状況を改善することを目的としています。
現時点では、法制化されたものではなく、各不動産デベロッパーの判断に委ねられていますが、すでに大手不動産会社の中には、要請内容を受けて社内で検討を始めているところもあります。

国交省は、この要請について、「承知しているがコメントは控える。緊張感をもって市場動向の把握に努める」と述べるにとどめましたが、この動きが東京都の他の都心部(港区や中央区など)に広がる可能性もあり、さらには、国の税制強化や新たな法規制の議論につながることも否定できません。

司法書士は、不動産売買の決済の立ち会いと登記手続きが花形業務です。不動産流通が活発なほど、依頼件数が増えるので、事務所経営の点では良いことですが、安心して住宅を確保できる環境整備につとめることも、携わる者として必要な視点であると考えさせられました。

今後の動向に注目していきたいと思います。