相続土地国庫帰属制度の利用状況について

相続土地国庫帰属制度(相続したあとに管理が困難な土地の所有権を国に引き渡すことができる制度)の利用件数が昨年度、前の年度の4倍以上となり、急速に増加しています。

この制度は2年前に始まりましたが、利用件数は、2023年度は258件だったところ、昨年度は1229件と4.7倍に増え、今年度はさらに増加傾向にあります。

 

同じタイミングで相続登記が義務化となり、重い腰を上げて、これまで放っておいた土地の相続登記手続きをされた方が多くいらっしゃるかと思いますが、相続人としては、せっかく登記までして引き継いだ土地を少しでも高く売却したい、とまずお考えになったはず。ところが、売却に向け不動産業者に相談し、調査した結果、それが難しく、逆にお金を払ってでも引き取ってもらわなければならない状況、いわゆる「負動産」であることを認識し、この制度の利用に至ったというのが、昨年度から増えたのではないでしょうか。

国は土地を引き取る際に、10年分の管理費用として原則20万円の負担金を徴収していますが、そのくらいの負担であればやむなしと判断したのでしょう。

 

同じ状況にある方はまだまだ多くいらっしゃると思いますので、さらにこの制度の利用は増えていくはずです。弊所としては、新しくできた制度ということもあり、動向を窺っていましたが、これからはお客様に選択肢の一つとしてご案内するようにしたいと思います。

今後、国が引き取る土地が増加し、その管理費用の負担が課題となることから、財務省は土地の状況に応じて管理を簡素化するなど柔軟に対応することや、民間への売却で買い手がつかない場合に価格を引き下げることができるよう制度を見直すことなど新たな対応を検討する方針とのこと。

制度を利用する相続人にも、土地を引き取る国にも、負担が少なく、永続的な制度となることに期待したいと思います。

 

相続手続きに限らず、その後のお困りごともぜひ弊所までご相談ください。