人口減少と司法書士の役割について

総務省が公表した2024年10月1日時点の人口推計によると、日本人は前年同月比89万8千人減の1億2029万6千人で、比較可能な1950年以降、最大の落ち込みとのことです。少子高齢化が進み、出生数が死亡数を下回る「自然減」が拡大していることが原因です。

そうした状況のなか、司法書士には何ができるでしょうか?以下のことが考えられます。

相続・遺言関連業務

  • 相続手続きの増加: 高齢化が進むことで、相続に関する相談や手続きの依頼が増加するでしょう。遺産分割協議、相続放棄、遺言書の作成支援などが主な業務となります。
  • 成年後見業務の重要性の高まり: 高齢者の認知症患者の増加に伴い、成年後見制度の利用が増加し、司法書士が成年後見人等として関わる機会が増えると考えられます。
  • 遺言書作成ニーズの多様化: 相続に対する意識の変化や家族構成の多様化により、より複雑な内容の遺言書作成のニーズが高まる可能性があります。

地域社会の変化への対応

  • 地域コミュニティの維持: 人口減少が進む地域では、地域コミュニティの維持が課題となります。司法書士は、地域の法律専門家として、町内会やNPOなどの活動を法的な側面から支援する役割が期待されるかもしれません。
  • 空き家対策への関与: 空き家の増加は、景観の悪化や防災上の問題を引き起こします。司法書士は、空き家の権利関係の調査や、利活用に関する法的手続きを支援する可能性があります。
  • 多重債務問題の深刻化: 経済状況の悪化や高齢者の収入減少などにより、多重債務問題が深刻化する地域も考えられます。司法書士は、債務整理や生活再建の支援を通じて、地域住民の生活を守る役割を担うことが重要になるでしょう。

新しいニーズ

  • ITを活用した業務効率化: 人口減少により、一件あたりの業務の重要性が増す可能性があります。ITツールを積極的に活用し、業務の効率化を図ることが求められるでしょう。
  • 専門性の深化と連携: 特定の分野(例えば、高齢者問題、空き家問題など)における専門性を深め、他の専門家(弁護士、税理士、社会福祉士など)との連携を強化することで、より質の高いサービスを提供する必要があるかもしれません。

このように、人口減少は司法書士の業務にマイナスの影響を与える可能性がある一方で、新たなニーズの創出や、地域社会における役割の重要性を高める側面も持ち合わせています。

弊所は、社会の変化に対応しながら、その専門性を活かして地域社会に貢献していくことを使命として業務に取り組んでまいります。