自筆証書遺言の保管制度について

現在の法律では、自分で書いた遺言(自筆証書遺言)を公的機関で保管する制度はありませんが、

改正法(「法務局における遺言書の保管等に関する法律」、略称「遺言書保管法」)では、自筆証書遺言を法務局で保管することができるようになります。

この制度がいよいよ今年7月からスタートすることを受け、公証役場での公正証書遺言は敷居が高いので、自筆で作ってみようとお考えになる方が増えるのではと思っています。

ただし、自筆でお作りになる場合でもぜひ、専門家のアドバイスを受けるようにしてください!

先日、遺言の検認(裁判所での開封作業)に立ち会ったのですが、

内容が「全財産を従弟Aに一任する」というものでした。

みなさんはこれで、Aさんが全ての相続財産を取得できると思いますか?

「一任する」「任せる」といった書き方では、財産の所有権をAさんに引き継ぐことが明確ではありません。

相続財産の管理や、相続人へ承継する手続きをお願いするとも読めてしまいます。

こういった曖昧な表現では、その遺言は原則無効となってしまいます。

(例外的に、他の要素と相まって「任せる」との表現を包括遺贈(=Aさんにすべて引き継ぐ)と解すると判断した判決はあります。(大阪高等裁判所平成25年9月5日判決))

自筆でやってみようという方も、遺言が無効になったり、かえってもめ事の種になるようなことがないよう、しっかりと内容を検討してから書くようにしましょう。

弊所は遺言のご相談を数多くいただいております。お気軽にご相談ください!!

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